マルニ木工のHIROSHIMA アームチェアの特徴と魅力!プロダクトデザイナーの深澤直人さんがデザインした素敵な椅子

マルニ木工のHIROSHIMA アームチェア

hiroshimaアームチェア

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マルニ木工のHIROSHIMA アームチェアの特徴と魅力

マルニ木工のHIROSHIMA アームチェアは、2008年に深澤直人氏を迎えて、世界に向けてMaruniブランドを発信する第一弾のデザインとして誕生しました。以来、錚々たる世界の家具デザインの領域において、「MaruniのHIROSHIMA」だけで通用する日本発のデザインとして認められた意味は大きいものがあります。アップルの新しい本社にも数千脚のHIROSHIMAアームチェアが採用されるなど、その存在は不動のものになりました。マルニ木工の90年におよぶ木工技術の積み重ねがあって初めて実現したこのデザインは、日本の木工技術レベルの高さを世界に示し、世界の中で確たる存在として大変重要なデザインになっています。スタートして12年ですが、これからの100年を目指したロングライフデザインであるとも言えるでしょう。こちらでは、そんなマルニ木工のHIROSHIMA アームチェアの特徴と魅力をご紹介します。

@felice_select_furniture
「today’s select furniture」 ◾️HIROSHIMA「アームチェア」 広島のマルニ木工と、日本を代表するプロダクトデザイナー深澤直人さんが「Yチェアを超える椅子を」と製作された椅子。 すでにご存知の方も多いと思いますが、日本を代表する椅子のひとつとして世界中のインテリア好きには知られている存在となっています。 「HIROSHIMA」というシリーズ名は、平和都市というイメージでも世界中に浸透していますが「モノづくり」で評価の高い日本で作られているということも表現されています。 そして、広島で誕生し、日本を代表する椅子のひとつとなった「HIROSHIMAアームチェア」ですが、現在広島で開催されている「G7サミット」でのワーキングランチでも使用されていました! 誕生までのストーリーや製造過程の技術の高さを知って、自分の中で1番欲しい椅子のひとつになった経緯からも大変嬉しい報告でした!#G7広島サミット #グランドプリンスホテル広島 #マルニ木工 #マルニコレクション #HIROSHIMA #ヒロシマ #深澤直人 #チェア #アームチェア #椅子 #椅子選び #ヒロシマアームチェア

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イギーくん
イギーくん

ねえねえラモーンくん、マルニのHIROSHIMA アームチェアってどんな椅子なの?

ラモーンくん
ラモーンくん

マルニ木工のHIROSHIMA アームチェアはプロダクトデザイナーの深澤直人さんがデザインした素敵な椅子。アメリカのアップル本社が気に入って、食堂用にたくさん採用したそうだよ!深澤さんの自信作で、「この椅子を作った時、僕にとって”名作”が出来たと思えた」と言ったんだって。さあ、それじゃあイギーくんと一緒に詳しく調べてみようね!

HIROSHIMA アームチェアの特徴

シャープな輪郭はそのやわらかな造形をより際立たせ、見る角度によって表情が変わる美しいシルエットが生まれています。なだらかな曲面や脚へつながる接合部は、継ぎ目が目立たないように合わせられ、丹念な手仕事によって仕上げられています。

わずかにふくらみを持たせたアームに肘を掛けると、木肌のすべすべとした優しい手触りを感じていただけます。ゆとりのある広い座面となだらかな背もたれは、しっくりと身体に馴染み長い間過ごしても疲れにくように設計。チェアに身体をあずけ、ゆったりと寛ぎたい方におすすめのアイテムです。

目指したものは100年使っても飽きのこないデザインと堅牢さを兼ね備えた家具。
マルニ木工から世界に向けて発表する商品をMARUNI COLLECTION(マルニコレクション)と呼び、開発パートナーに世界的なプロダクトデザイナー深澤直人を迎え2008年「HIROSHIMA」を生み出しました。

デザインのポイント
1.背凭れから肘にかけての緩やかなカーブが美しく、曲線と直線を多用することでどのような空間にも調和する。
2.木の塊を削り出して形作られており、工芸的な温もりがありながら精緻で清浄なイメージがある。
3.椅子をより美しく見せるために木目や色を合わせている。木目が揃うように材料選びからこだわっている。

2008年に深澤直人氏を迎えて、世界に向けてMaruniブランドを発信する第一弾のデザインとして誕生しました。以来、錚々たる世界の家具デザインの領域において、「MaruniのHIROSHIMA」だけで通用する日本発のデザインとして認められた意味は大きいものがあります。アップルの新しい本社にも数千脚のHIROSHIMAアームチェアが採用されるなど、その存在は不動のものになりました。マルニ木工の90年におよぶ木工技術の積み重ねがあって初めて実現したこのデザインは、日本の木工技術レベルの高さを世界に示し、世界の中で確たる存在として大変重要なデザインになっています。スタートして12年ですが、これからの100年を目指したロングライフデザインであるとも言えるでしょう。

出典 マルニ木工公式サイト 出典 公益財団法人日本デザイン振興会公式サイト

発売
2008年4月

仕様
寸法:幅560・奥行530・高さ765・座高425 (mm)  主材:ビーチ材  塗装:ウレタン樹脂塗装 重量:8.5kg /樹種は、ビーチ材、オーク材、ウォルナット材の3種類

2020年グッドデザイン賞受賞

受賞企業
株式会社マルニ木工 (広島県)

デザイナー
NAOTO FUKASAWA DESIGN 深澤直人

プロダクトデザイナー。
卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、国内外の企業のデザインを多数手がける。電子精密機器から家具、インテリアに至るまで手がけるデザインの領域は幅広く多岐に渡る。デザインのみならず、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ている。英国王室芸術協会の称号を授与されるなど受賞歴多数。2018年、米ニューヨークのノグチ美術館(The Noguchi Museum)が創設した第5回「イサム・ノグチ賞」を受賞。
マルニ木工アートディレクター。21_21 Design Sightディレクター。良品計画デザインアドバイザリーボード。 2010 年~2014年グッドデザイン賞審査委員長。 2012年Braun Prize審査委員。 2006年Jasper Morrisonと共に「Super Normal」設立。多摩美術大学教授。日本民藝館館長。

出典 マルニ木工公式サイト

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椅子のこと、もっと知りたい!

椅子の歴史① 椅子はいつどのように使われ始めたのか

権力を示す道具としても用いられた

腰掛は紀元前3000年〜4000年ほどのころ、粘土で作ったものが使われていたといわれています。木製の椅子はエジプト文明の頃、紀元前何十世紀という頃には使用されています。ツタンカーメンの椅子などでも知られているように、背もたれのある椅子は、当時権威を表すための道具として用いられたと考えられます。

現在の西洋の建築・インテリア・芸術の歴史の中で、その源流はギリシャやローマにあると言われ、古典(クラシック)と呼ばれています。ギリシャ文化では、生活の中で使用する「クリスモス」という婦人用の椅子、「ディフロス」というスツール、「クリーネ」という寝椅子が代表的な家具として挙げられます。機能的で簡素な印象が特徴的です。

ローマ文化では、基本的にギリシャ文化が継承されます。しかし古代ローマ後半の帝政期には、また権力の象徴として用いられるようになります。当時の役人が使用した「セラ・クルリス」という折りたたみ式の椅子や、貴族が使用した「レクタス」などがその期間に使われた椅子です。

ロマネスク

11世紀から12世紀ごろのキリスト教を中心とした西ヨーロッパの建築、装飾の様式をロマネスクと言います。この時代は、建築物であるピサの大聖堂に代表されるように、かまぼこ状のアーチを横に連続させた装飾であるアーケード装飾が特徴の一つです。アーケード装飾は、ローマ以降様々な様式で採用されていますが、家具であるチェストや椅子にもこの装飾が多用されました。

ゴシック

12世紀後半に北フランスで起こり、13〜14世紀に最盛期となった西ヨーロッパの建築、装飾様式をゴシック様式といいます。キリスト教会が圧倒的な支配力を持っていたため、教会建築はその権威を象徴するように高く伸び、家具や室内装飾も厳しい彫刻を施した重厚なものが多いのが特徴です。

ギルドと呼ばれる手工業者の同職組合の制度が定着し、技術が発達したため、ゴシックの家具は西洋のクラシック家具の原型であるといわれています。チェストやハイバックチェアなど、彫刻装飾の施された大型家具が製作されました。装飾のモチーフとしては、アカンサス、唐草、渦巻きが用いられました。パネルや窓の装飾として、麻布を折りたたんだようなリネンホールドや、トレーサリーと呼ばれる幾何学模様の格子や、火炎のように見えることから名付けられたフランボワイヤンが流行しました。

ここまで椅子は、彫り模様などの装飾が多く施されていたり、重厚感のある椅子が多いように見受けられます。背がある椅子はかつて、現在のように庶民の生活に寄り添うような椅子ではなく、権力の象徴として用いられる時代が長かったのですね。

椅子の歴史② 芸術品の1つとして流行が移り変わる椅子

ルネッサンス

13世紀末にイタリアのフィレンツェで起こり、15〜16世紀には全ヨーロッパで栄えたのがルネッサンスという芸術様式です。「再生」という意味のあるルネッサンスは、ギリシャやローマの古典文化の再生を意味しています。家具においても古典的な装飾を施して、シンメトリーが重視されました。椅子は、ダンテが愛用したとされるダンテスカ、高僧の名前に由来するサボナローラという折り畳み椅子、スガベルロという八角形の座面を持つ椅子、カッサパンカと呼ばれる長いすが代表的です。

フランスでは、16世紀初期のフランソワ1世の時代にルネッサンス様式が導入されました。椅子では、当時の流行である大きく膨らんだスカートを着た女性を考慮した、カクトワールという台形の座面を持つものが流行しました。おしゃべり椅子とも呼ばれるこの椅子から、衣服の形態に家具を合わせるような動きもみられます。

イギリスでは、エリザベス様式、初期ジャコビアン様式として独特な広がりが見られます。エリザベス様式の家具は、脚や柱の途中にあるかぶら型の挽物が特徴で、その特徴は椅子にも見られました。

バロック

バロック(イタリア語で歪な真珠を意味する)様式は、17〜18世紀頃に絶対君主制のヨーロッパ各国で盛んになりました。

豪華さを競う芸術様式ともいえるこの様式は、それまでのルネッサンスの秩序ある厳格な規則性を離れ、有機的な流動性が強調されています。

フランスではルイ13世〜14世の時代にあたり、特に14世の時代のものはルイ14世様式とも呼ばれています。ヴェルサイユ宮殿は、バロック様式の象徴ともいえる建築物です。宮廷画家のシャルル・ル・ブランが室内装飾を担当し、ゴブラン織のファブリックスを用いて壮麗な様式に統一しました。家具はアンドレ・シャルル・ブールが担当し、華麗な様式の家具を製作しています。

イギリスでは、

ねじり脚やらっきょう形が見られる後期ジャコビアン様式、寄せ木や象嵌の技術を用いたウィリアム・アンド・マリー様式がこの時代に相当します。ウィリアム・アンド・マリー様式の家具は、フランスやオランダの影響を受けて脚先が曲線になっており、ウォールナット材が多用されました。

ロココ

ロココ(フランス語で貝殻や石で装飾した築山を意味するロカイユが由来)は、18世紀前半の室内装飾にその特徴が現れるインテリアの様式です。貴族の享楽的生活傾向に基づいた、曲線的で優雅な造形が特徴的です。権力を示す目的だけではなく、貴族の生活の中で実際に使用されました。

ロココ様式では、ルネッサンス〜バロック様式に見られるシンメトリーの原則が細部で破られています。また、淡いソフトな色調が好まれていました。ジェルマン・ボフラン設計のオテル・ド・スービーズ(パリ)はこの時代を代表する室内装飾にあげられます。曲面で壁から天井へと繋がっており、モールディング(金色の繰形)で装飾されています。

家具について、コモード、コンソール、ビューロなどに特色が現れています。ガブリオール・レッグ(猫脚)と呼ばれるS字カーブを描く脚が共通する特徴で、曲線的な構成、繊細な装飾、金色の仕上げが多用されました。

フランスでは、ルイ15世様式とも言われています。ガブリオール・レッグに軽快・繊細な曲線的構成で、寄木細工の装飾などが施され豪華な印象です。椅子に関しては、座や背にクッションを十分に使用しているのも特徴的です。

イギリスのクイーン・アン様式の椅子では、同じくガブリオール・レッグが用いられた比較的シンプルなデザインが特徴的です。背板に透かし彫りが施した椅子や、安楽椅子のウィングチェアなどが知られています。

また、ロココ期後半に活躍した家具作家トーマス・チッペンデールによる家具は、チッペンデール様式として有名です。脚がガブリオールレッグで背がリボンバックの椅子や、中国風のデザインなどを得意としました。18世紀のヨーロッパではシノワズリ(中国趣味)が流行したため、家具にもその影響が現れました。

ネオクラシシズム

18世紀中期以降のヨーロッパは、ルネッサンス以来再び古典的な造形が復活しました。古代ローマ遺跡の発掘などの影響を受けたこの流れを、ネオクラシシズム(新古典主義)といいます。

ネオクラシシズムの造形はルネッサンス期と同じく、シンメトリックで直線的です。また、ギリシャ・ローマ時代の装飾モチーフが多用されます。

家具にはコリント式オーダー、月桂樹などがモチーフに用いられました。椅子やテーブルの脚は溝彫り(フルーティング)を施した丸い断面の細い直線脚、表面装飾は平坦で寄木細工が好まれています。

フランスではルイ16世様式と呼ばれ、フェスツーンという植物を網状に編んだ飾りが用いられました。また、ジャン・アンリ・リーズネルは、ルイ16世様式とも呼ばれる時代にマリー・アントワネットが愛用した家具を作り有名になりました。

18世紀後半のイギリスでは、ジョージアン様式として有名な家具作家を輩出しています。

建築家・インテリアデザイナーのアダム兄弟は、古典的なモチーフを使った洗練されたスタイルを生み出しています。家具ではメダリオン(卵形)の背の椅子などが知られています。

ヘップルホワイト様式は、家具作家のジョージ・ヘップルホワイトが創始したスタイルで、シールド(盾形)やハート形のと、四角形の先細りの脚の椅子が有名となっています。

家具デザイナーのトーマス・シェラトンは、彫刻よりも象嵌を多用した、直線的、幾何学的かつシンプルな形態を特徴とするスタイルを築きました。

椅子の歴史③ 古典的な様式、アート志向、実用主義などが混在する19〜20世紀

椅子の歴史について、始まり〜中世、中世〜近世の流れを大きく捉えてきました。

19世紀〜20世紀にかけての流れと、植民地支配を受けて独特の成長を遂げたアメリカにおける家具の流れをみていきます。

19世紀〜の様式

19世紀前半は18世紀のネオクラシシズム(新古典主義)が引き継がれました。また、19世紀の様式を代表するアンピール様式というスタイルがあります。フランスで起こり、少しずつ変化しながらもヨーロッパ各国に波及していきます。

アンピール様式

フランスのナポレオンの支配下の19世紀初頭に起こった帝国スタイル。豪華さや、古代エジプト、ローマ、ギリシャの古典的な様式を再現したネオクラシシズム(新古典主義)の流れを汲んでいます。

代表的な建築物としては直線構成とシンメトリーでまとめられた凱旋門が挙げられます。宮殿内は、ナポレオンのイニシャルであるN文字、ライオン、スフィンクス、白鳥、月桂樹、女神、戦士、ロータスなどのモチーフで装飾されています。

また、家具に関して古代ローマを倣った重厚感のあるものが作られています。木部は黒の塗装で、深紅のビロードや金色の装飾などが多用されます。また、室内装飾で用いられたモチーフが家具にも使用されました。ナポレオンは伝統工芸を支援していたため、ゴブラン織りやリヨンの絹織物などの再生にも寄与していました。椅子も古代に倣ったX脚のものが好まれました。

リージェンシー様式

19世紀初頭のイギリスで起こったリージェンシー様式。アンピール様式の影響を受けながら、エジプトや中国の異国情緒が取り入れられています。

代表的な家具作家として、トーマス・ホープが知られています。

ビーダーマイヤー様式

ビーダーマイヤー様式は、19世紀初頭のドイツやオーストリアで起こったものです。一般市民向けの実用的な家具の様式として、アンピール様式の影響を受けつつも、木工機械も利用されるなどモダンな造形はシンプルで機能的です。これらは現代のデザインにも通ずる要素が多いとされています。

ネオゴシック

18世紀後半から19世紀初頭のイギリスで起こった、ゴシック様式の再生を謳った運動をネオゴシックといいます。イギリスのビック・ベン(国会議事堂)は、ロマン主義的傾向を取り入れたネオゴシックの代表作と言われています。家具ではコイルスプリングが用いられたり機械生産が導入されるなど、機能性・量産性が高まっています。

ビクトリア様式

ビクトリア様式は19世紀後半のイギリスで起こった様式です。過去の様式の模倣や折衷を主とし、保守的な要素が窺えます。

産業革命が進む19世紀のインテリアデザインは、量産化の時代でもあります。しかし、初期の工業製品は低俗的なものが多かったため、イギリスでアーツ・アンド・クラフツが起こります。これはジョン・ラスキンの思想に共鳴したウィリアム・モリスが手工業による良質な製品の製作や販売を実践した運動です。20世期のデザイン思想に大きな影響を与えることとなります。

アール・ヌーボー

「新しい芸術」を意味するアール・ヌーボーは、19世紀末ヨーロッパを象徴する芸術運動です。アーツ・アンド・クラフツ運動を受けて、ベルギーで始まり、フランス等で栄えました。特徴として、植物を思わせる曲線の多用が挙げられます。作家としては、ヴィクトール・オルタやエミール・ガレ、ルイス・ティファニー、ルイ・マジョレルなどがよく知られています。パリのメトロ入り口が有名なエクトル・ギマールや、ベルギーの建築家であるアンリ・ヴァン・デ・ヴェルデは、流れるような曲線で軽やかな印象の椅子なども手掛けています。

ドイツ、オーストリアでは、アール・ヌーボーをユーゲント・シュティル(「若い様式」の意味)と呼んでいます。この運動に先んじて、ウィーンのミハエル・トーネットは1830年代に曲木技術を完成させ、

アールヌーボーの動きを予感させる曲木家具の量産に成功しています。(トーネットのNo.14をこちらの記事で紹介しています:椅子のデザイン①)

アール・ヌーボーの時代のデザイナーとして有名なイギリスのチャールズ・レニー・マッキントッシュも、ゴシック様式を基本に単純化と様式化を取り入れて、直線的で個性的な家具を造形した。

スペインでは、アントニオ・ガウディが20世紀初頭に、独創的な建築を作り上げています。代表作に、集合住宅カサ・ミラや聖家族教会(サグラダ・ファミリア)がありますが、内部装飾とともに曲線を使った椅子のデザインも行っています。うねるような独特の曲線は、自然や人体を模ったものをモチーフとしているとされています。

ゼツェッション(分離派)

19世紀末〜20世紀初頭のウィーンでアカデミズムからの分離を訴え、アール・ヌーボーの影響を受けつつも、実用性のある新しい表現を目指した芸術運動をゼツェッション(分離派)と呼びます。画家のグスタフ・クリムトが提唱者となり、「実用主義」を訴えたオットー・ワグナーが理論立てています。「芸術は機能にのみ従う」と唱えて機能的な家具をデザインしました。その他代表的な作家のひとりにヨーゼフ・ホフマンがいます。形と機能が融合することが重要視される時代のきっかけになる椅子をデザインし、ウィーン工房の立ち上げにも携わりました。

機能主義

アーツアンドクラフツやアールヌーボーは、デザインの工業化に対してアート志向を唱える運動です。それに対して、機械生産による合理的な造形を追求する機能主義の傾向も発展しました。

シカゴ派

ルイス・サリヴァンを筆頭とする建築家の機能主義造形理論をシカゴ派といいます。19世紀末のアメリカでは、鉄骨造の高層建築が盛んになります。のちに有機的な建築を生み出すフランク・ロイド・ライトもこの一派に属しました。

ドイツ工作連盟

20世紀初頭にヘルマン・ムテジウスによって結成されたもの。機械と芸術の統一を実践し、機能的かつ経済的なデザインを目指しました。代表的な作家に、建築家であり工業デザインの先駆でもあるペーター・ベーレンス、日本の桂離宮を高く評価し日本文化を世界に紹介したブルーノ・タウトが挙げられます。

アメリカの様式

アメリカでは、17世紀に本格的な植民地支配が始まってから19世紀前半頃まで、ヨーロッパの様々な建築やインテリアの様式を自分たちの生活に合わせながら取り入れていきます。この頃のアメリカの様式は、17世紀初頭〜1776年(独立)までの植民地時代をコロニアル(植民地)様式、独立後はフェデラル(連邦)様式に分類されます。また、17世紀初頭の素朴なスタイルをアーリーアメリカンとも呼びます。

植民地時代初期は、イギリス、オランダ、ドイツなど、それぞれの出身国の様式を活かした簡素な家具が作られました。しかし、イギリス人の支配が強まると、ウィリアム・アンド・マリー様式、クイーン・アン様式、ジョージアン様式などのイギリスの様式を活かした家具が広まっていきます。イギリスのウィンザーチェア、クイーン・アン様式ではハイボーイ(脚付きの背の高い衣装箪笥)やローボーイ(脚付きの背の低い衣装箪笥)などが流行しました。

植民地支配を終えた18世紀末から19世紀にかけては、ニューヨークの家具職人ダンカン・ファイフによるアンピール風の家具が人気を博した。同じ頃、シェーカー教徒により、シンプルな造形が特徴的な家具(シェーカー様式)が生み出されます。シェーカー様式の椅子はラダーバックという梯子状の背を持つのものが多く、飾り気のないデザインは現在も好まれています。また、19世紀後半には、スペインのキリスト教徒によってもたらされた簡素なミッション様式が普及しました。

19世紀は、ネオクラシシズムが引き継がれるとともに、アンピール様式やアール・ヌーボーから派生した様式によって建築やインテリア、椅子のデザインがなされたのですね。また、アメリカの様式は植民地支配の影響を色濃く受けていることからも、政治的な状況も芸術の流行に大きく影響することがわかりました。

椅子の歴史④ 合理的機能的な20世紀以降のモダニズム

20世紀〜

19世紀末頃〜モダニズムの流れが出てきます。かつての装飾を多用する建築などの芸術を否定し、分離派や機能主義の流れを汲んだ合理的機能的でシンプルな傾向です。20世紀は世界各国で様々な芸術の傾向が見られ、名作椅子が生み出されます。
デ・スティル

第一次大戦後のオランダでは、抽象的な造形への関心が高まり、デ・スティル派が高まります。1910年代後半から30年代にかけて、オランダで起こった造形運動のことをデ・スティルと呼びます。この由来は、1917年に創刊したオランダ語で「様式」を意味する美術雑誌「デ・スティル」から。

単純な直線構成と、赤・青・黄の3色で構成した抽象画で知られるピエト・モンドリアンの理念を受けています。線・面・色彩に還元された空間を具現化した例では、「シュレーダー邸」のほか「赤と青の椅子(レッド・アンド・ブルー)」「ジグザグチェア」を手掛けたヘリット・トーマス・リートフェルトが代表作家として知られています。
バウハウス

「デ・スティル」創刊の2年後、合理主義的で機能主義的な考えを持つヴァルター・グロピウスによって、1919年に創設された国立造形学校バウハウス。ドイツワイマールのバウハウスは、総合的なデザイン教育の拠点となりましたが、急進的で革新的な理念であったために、当時の政治情勢に受け入れられませんでした。1925年にデッサウで市立学校として再開校、1932年ベルリンに移転などを行いましたが、1933年には閉校を強いられています。

バウハウスに関わる作家としては、教鞭をとったヴァルター・グロピウス(キャンチレバーの椅子の先駆けとなった「F51アームチェア」などでも有名)や、ミース・ファン・デル・ローエ(鋼材と皮革による「バルセロナチェア」、スチールパイプの「MRチェア」が代表作)、バウハウスで育ったマルセル・ブロイヤー(スチールパイプを構造体に使った「ワシリーチェア」 、「チェスカチェア」が代表作)などが挙げられます。

アール・デコ

アール・デコや1925年様式は、幾何学形態が多く用いられています。これは、1925年の現代装飾産業美術国際博覧会(アール・デコ博)で大成された装飾的なスタイルです。アール・ヌーボーなどの装飾的なスタイルは一時的に衰退していましたが、ゼツェッションなどの影響を受けて工業デザインと結びつき再び栄えました。ニューヨークの「クライスラー・ビル」に代表されるように、産業資本のバックアップを受けてアメリカでも発達しました。1930年代に流行した流線型のデザインも、この様式の影響を引き継ぐもので、日本では「旧朝香宮邸(現東京都庭園美術館)」が代表例として挙げられます。

また、同じ頃に近代の建築や住宅デザインに大きな影響を与えたのは、ル・コルビュジェです。近代建築五原則の理論に基づき様々な合理的システムを提案しました。代表的な建築物として「サヴォア邸」、家具では自身の門下生であるシャルロット・ペリアンと共作した「シェーズロング(カウボーイチェア)」が有名です。

フランク・ロイド・ライトは、機能主義全盛の建築デザインに対して、人間の健康的な生活に適する有機的建築を唱え、水平ラインと深い庇が特徴的なプレイリースタイルを築いた人物です。カウフマン邸(落水荘)など優れた住宅のみならず、「タリアセン・ウエスト・チェア」などの家具も残し、デザイナーに大きな影響を与えています。

アメリカのモダンデザイン

第二次世界大戦が終わった1950年代以降のアメリカでは、ミース・ファンデルローエやマルセルブロイヤーらの他にも様々な作家が活躍しています。

ハーマンミラー社で活躍したチャールズ・イームズは、成形合板やアルミニウムを使った「プライウッドチェア」「ワイヤチェア」「ラウンジチェア」「アルミナムグループ」などの椅子が有名です。また、強化プラスチックの座とアルミニウムの脚が特徴的な「チューリップチェア」で知られるエーロ・サーリネン、スチールワイヤーの「ダイヤモンドチェア」を手掛けたハリー・ベルトイアなどが機能的な椅子を手掛けています。

「ラウンジアーム」などが代表作と言えるジョージ・ナカシマは、手工業的な手法の木製家具で人気を経ています。岐阜提灯をアレンジした照明器具AKARIの作者としても有名なイサム・ノグチも椅子を残しており、モダンデザインに対してクラフト的なデザインを行っています。

スカンジナビアン・モダン

北欧では、1930年代に民族的伝統や風土世とモダンデザイン の融合を図り、材質感に富んだ温かみのある建築・インテリアが生まれていきます。

代表的的なデザイナーとして、フィンランドの建築家で成形合板を使った「パイミオチェア」でも有名なアルヴァ・アアルトや、アルミ製の屋外用椅子「ランディ」が有名なハンス・コーレイが挙げられます。

北欧の家具は戦後まもなく復興し、北欧諸国はスカンジナビアン・モダンと呼ばれる家具を生み出していきます。中でも特に優れた家具を生み出したのはデンマークで、デーニッシュモダンと呼ばれます。
デーニッシュモダン

デンマークの家具デザインは、優美な曲線を特徴としているものが多くあります。無垢材の木肌を活かした、クラフト的な形態が特徴的な椅子を生み出したハンス・ウェグナー(以前の記事:「北欧発デザインの椅子 ハンスJ・ウェグナー」「北欧家具の有名デザイナー ハンスJ・ウェグナー」)、新素材を用いたユニークな形態の家具が有名なアルネ・ヤコブセン(以前の記事:「北欧発デザインの椅子 アルネ・ヤコブセン」「北欧家具の有名デザイナー アルネ・ヤコブセン」)などがデザイナーとして代表的です。

デーニッシュモダンの基礎を築いた家具デザイナーとして、コーレ・クリント、木製の彫刻的な造形が特徴的な家具を作ったデザイナーフィン・ユール(以前の記事:「北欧発デザインの椅子 フィン・ユール」「北欧家具の有名デザイナー フィン・ユール」 )、スチールを用い、キャンティレバー構造を採用したシャープな曲線の作品を多数作ったポール・ケアホルム、PHランプと呼ばれる照明器具のシリーズで知られる照明デザイナーのポール・ヘニングセンも、この時代を彩りました。
イタリアンモダン

大胆な形と鮮やかな色彩が特徴の戦後イタリアのデザインは、家具分野でも主導的な地位に立っています。

軽量木製椅子の「スーパーレジェーラ」がベストセラーとなったジオ・ポンティ、「セレーネ(FRP(繊維強化プラスティック)の一体成形で強度がある)」が有名なヴィコ・マジストレッティ、「キャブチェア(スチールの骨組みに皮をかぶせた椅子)」が有名なマリオ・ベリーニ、「アルコ(台座から弧を描くようにアームを伸ばした照明)」など斬新な照明のデザインで知られるアキーレ・カスティリオーニなどが、イタリアンモダンの有名デザイナーといえます。

家具の国際見本市であるミラノサローネの成功で、1960年代から家具デザインの中心はイタリアへと移っており、日本人では、喜多俊之らがイタリアに渡って活躍しています。

このような流れの中で、現代へ、今日の椅子へとつながります。改めて生活の道具である椅子も、芸術を含む時代の流れの中で変化しながらデザインされたり、使用されたりしていることが感じ取れました。家具のデザインはもうほとんど飽和しているなどとも言われていますが、未来ではどのように振り返られているのでしょうか。

出典 WELL公式サイト

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